
祖国の手にナイフを持たせたくない
ナイフだってライフルだって
誰にも持たせたくない
土地はみんなのものだ
空気みたいに
Jorge Debravo (ホルヘ・デブラボ)はコスタリカ国民にもっとも愛される詩人のひとりです。1938年にカルタゴ県、トゥリアルバ市の貧しい農家に生まれ、1967年に、29歳の若さで、交通事故で亡くなりました。両親の畑仕事を手伝わなくてはならないため、15歳になるまで小学校に上がらず、亡くなるほんの二年前にようやく高等学校を卒業します。
それでも独学でジャーなリズムや文学を勉強し、17歳のときに、ほかの若い有志たちとともに、トゥリアルバの地方新聞に詩を投稿しはじめました。同じ年に社会保障公庫に就職し、働き者で有能だったため、23歳で検査官に任命されます。デブラボの詩は、自ら経験した貧しさと、検査官の仕事を通じての労働者たちとの交流に育まれたものです。そして平和、平等、人間の尊厳、そしてやさしさへのあこがれにあふれています。
このNocturno sin patria (祖国のない夜想曲)は、彼の作品のなかで、おそらくいちばんよく知られているものでしょう。コスタリカという国の平和主義的姿勢と平等意識を、誰にでもわかる簡単な言葉で、まるで子供が絵を描くように鮮やかに あらわしてい ます。
祖国のない夜想曲
祖国の手にナイフを持たせたくない
ナイフだってライフルだって
誰にも持たせたくない
土地はみんなのものだ
空気みたいに
バカでかくて
暴力的で野性的な手が欲しい
境界線をひとつひとつ引っこ抜くために
境界線の代わりに空気をおくために
だれも服を持つみたいに
土地を持ったりするな
だれもが空気を持つように
土地を持て
戦争を先っちょから捕まえて
風景のなかに
ひとつも残らないようにしてやる
そしてみんなのために土地を開こう
まるで空気みたいに
だって空気はだれのものでもないのだから
だれのものでも
そしてみんながそれぞれ
空気の一角を持っているんだから
(安川順子訳)
Nocturno sin Patria
Yo no quiero un cuchillo en manos de la patria.
Ni un cuchillo ni un rifle para nadie:
la tierra es para todos,
como el aire.
Me gustaría tener manos enormes,
violentas y salvajes,
para arrancar fronteras una a una
y dejar de frontera solo el aire.
Que nadie tenga tierra
como tiene traje:
que todos tengan tierra
como tienen el aire.
Cogería las guerras de la punta
y no dejaría una en el paisaje
y abriría la tierra para todos
como si fuera el aire.
Que el aire no es de nadie, nadie, nadie…
Y todos tienen su parcela de aire.
素敵な詩を翻訳していただきありがとうございます!彼の詩をもっと読んでみたいです。
ありがとう。これから一週間にいっぺんぐらい出すようにします。